差別、格差社会を招く安倍晋三氏
2007年7月28日
宇佐美 保
拙文《美しい国は差別の国》を補足させて頂きます。
先にも抜粋させて頂きました『週刊ポスト(2007.6.22号)』から、その最後の部分を引用させて頂きます。
部落解放同盟広島県連合会顧問の小森龍邦氏は次のように語る。 「高度成長期、部落解放運動は貧困層の底上げがあり、非常に進んだ。しかし、このところの格差社会化によって、差別は再び深刻化している。地上からはなかなか見えませんが、伏流水のように汚染は広がっているのです」 今もなお厳然と残る「血と骨」の呪縛。いわれなき「差別」がなくなる日は来るのだろうか。 |
この小森龍邦氏の「格差社会化によって、差別は再び深刻化している」の言葉は、先にも引用させて頂いた森達也の「哀しいことだけれど、人は誰かを差別したい、上になりたいとの願望がある」と相通じてしまいます。
即ち、「格差社会化によって」「貧困層」が増大すればするほど、「哀しいことだけれど、人は誰かを差別したい、上になりたいとの願望がある」方々の人数は増大して行くでしょう。
その結果、「差別は再び深刻化している」ことになりかねません。
ところが、安倍晋三氏は、氏の経歴からして、又、その経歴を氏自ら省みつつ「格差社会化」を肯定、推進してゆく人物と思えるのです。
この件を実証する為に、安倍氏の著作『美しい国へ』から、次なる箇所を抜粋させて頂きます。
わたしが職業として政治にかかわることになるのは、1982年、父の晋太郎が、中曽根内閣の外務大臣に任命されたときである。当時わたしは東京・八重洲の本社(筆者注:神戸製鋼)にある輸出部に転勤していた。父は、出社前のわたしをつかまえて、 「オレの秘書官になれ」 「いつからですか」 「あしたからだ」 自分では、この充実したサラリーマン生活をもうしばらく続けたいと思っていたから、寝耳に水だった。 「わたしにも会社があります。これでも年間数十億ぐらいの仕事はしているんです」 ・・・ |
父親に「オレの秘書官になれ」と命じられた際、「わたしにも会社があります」と安倍晋三氏が断るのは結構な事ですが、その断る理由(「これでも年間数十億ぐらいの仕事はしているんです」)が私には気になるのです。
安倍晋三氏の仕事の量が「年間数十億ぐらい」ではなくて、「数千万円くらい」だったら、いそいそと辞めていたというのでしょうか?!
安倍晋三氏は、仕事の重要性を、その取り扱い金額の大小で決めているのでしょうか? となりますと、「大企業は素晴らしい会社」、 |
この件に関して、『文芸春秋(2006年10月号)』での、阿川佐和子氏との対談を一部抜粋させて頂きます。
阿川 神戸製鋼に勤めるときには、ゆくゆくは政治家になるということは? 安倍 まだ迷っていましたね。仕事が非常に面白かったんですよ。入社後は工場勤務を経て、冷延銅版輸出を担当することになりました。冷延鋼板って自動車用の薄い板ですね。東南アジア向け輸出の営業担当なんですが、どういうわけかものすごく裁量権があったんです。 阿川 へえ。まだ入社二年ぐらいで? 安倍 そうなんですが、神戸製鋼は冷延鋼板では後発メーカーでね。わりと自由にやらせてもらったんです。で、私も相当シェアを上げたんですよ。 阿川 成績よかったんですか。 安倍 自分で言うのもなんですが、非常によかったと思いますよ。ほかのメーカーと相当ぶつかり合いをしましてね。 阿川 じゃ、このままサラリーマンでずっと仕事を続けていこうという気持ちも残っていた? 安倍 ええ。鉄鋼の世界では新日鉄が巨人でしたから、新日鉄の仕事を奪うのが私の生き甲斐。当時の新日鉄の冷延鋼板輸出課長だった方はいまの社長なんですね。三村さんという人で。 阿川 あら、じゃ、神戸製鋼に残ってたら、いま頃は社長(笑)。 安倍 それはないでしょうけども。 阿川 で、ある日突然、政治家になれとお父様から呼び出されるんですよね。 安倍 政治家というか、自分の秘書になれと言われて。父が外務大臣に就任したときです。自分も祖父の岸信介の外務大臣秘書官をやったので、これを経験しておくべきだと。自分もやれと言われてすぐに毎日新聞を辞めたんだから、お前も辞めろとか言って。 阿川 反発はしないんですか。 安倍 それは、すぐには辞められませんよと言って。 阿川 結構成績いいんですよって。 安倍 たくさんの人に迷惑がかかりますから、ちょっと待ってくださいと言ったら、うちの父が会社にすぐ連絡してですね、息子をすぐに辞めさせてもらわないと困るみたいな話をしちゃった。 阿川 強制送還(笑)。 安倍 で、課長から、それはきみ、思い切って判断したほうがいいよ、と言われて。まあ、残ってくれと言われたほうが嬉しかったかもしれないなっていう気もしないでもないですね(笑)。 |
一読しますと、“サラリーマンとして、安倍氏はなかなかの仕事をしていたのだな〜〜!”と思う方も多いでしょう?
なにしろ、対談相手の阿川氏も、安倍氏の話を感心して聞かれていたようなのですから!
でも、待ってください!
安倍氏の仕事への情熱は何だったでしょうか?
そうです「鉄鋼の世界では新日鉄が巨人でしたから、新日鉄の仕事を奪うのが私の生き甲斐」なのです。
これでは、巨人(新日鉄)の体から、神戸製鋼という蚤とか蚊が血を吸うだけではありませんか!?
何か、安倍氏でなくてはならないほどの創造的な仕事(仕事の方法)を担っていたとも思えません。
単に「まだ入社二年ぐらいで」「ものすごく裁量権があったんで」「相当シェアを上げた」ということだけと思えます。
ですから、退社に際して、安倍氏本人は「残ってくれと言われたほうが嬉しかった」と思いつつも、課長から、それはきみ、思い切って判断したほうがいいよ、と言われて・・・となってしまったのだと存じます。
こんな程度の話を、新日鉄だの、神戸製鋼だのの大きな会社の名前を挙げて、自分の仕事、自分の実力を大きく見せようとするコケオドシ的な安倍氏は、「格差社会の権化」であり、「格差社会化」を企てる首相には誠に似つかわしいということになるのかもしれません。
(虎(米国)の威を借りる狐に相応しい人物なのでしょう)
何故、安倍氏たちは、大企業や金持ちの税金を優遇する一方で、低所得者達から税金を搾り取り彼らを貧困層へ突き落として、日本を米国同様の格差社会にするのでしょうか?
世界のいたるところで戦争をしたがる米国の軍隊はほとんど低所得者によって構成されているということですから、日本を米国と一緒に戦争をする国にする為に、安倍氏たちは、日本軍を構成する貧困層がなんとしても必要なのかもしれません。
そして、又、貧困層の若者達を軍隊に取り入れる前準備として、「平和憲法」の改悪に際しての「国民投票」の投票資格者の年齢を「18歳」まで引き下げ、彼らに「自己責任」を納得させようとしているのかもしれません。
こんな事になって行ったら大変です。
「格差社会の権化」のような安倍氏には、早々にご退場いただきたく存じます。
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